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鹿沼のむかしばなし 冬の段 大太法師の足跡 小杉 義雄 作 「むかしむかしそのまたむかし、石裂山(おざくさん)の神さまの下男に大太法師という、ものすごく大きな男がいたということだ」おじいさんは、お正月で集まった孫たちに話し始めた。 「その男の人は、奈良の大仏よりも大きかったの?」 「へえ!そんなに大きな人はどんなうちにすんでいたのかなあ?」 孫たちは目を丸くしておじいさんを見た。 「そうさなあ、山よりも大きなうちに住んでいたのかもしれない。でも、石裂山にいた大太法師は富士山を一晩で作った大男ほどは大きくなかったようだ。それでも、ひとまたぎが2、300メートルもあったというから、そうとうな大男だったことはまちがいない。そして、この大太法師は南摩の西沢近くをよく歩き回り、その足跡のくぼんだところに、水がたまり、沼になったというのだ。土地の人たちは、子の沼を大太法師の足跡といっているんだそうだ」 「その沼は、いまでもあるの?」 「今は埋め立てられて、田や畑になってしまって残ってはいないらしい」 残念そうに言うおじいさんの後を受けて、おばあさんが 「もう一つ言い忘れたが、この大太法師は走ることと飛ぶことが得意だったともいわれている」 みかんをむきながら話すおじいさんを見て、 「それは、おじいちゃんも聞いてない。…まあ、こういう大男の話は巨人伝説といって、日本ばかりでなく世界中に伝わっているから、調べてみるとおもしろいことがわかると思うよ。 おじいさんは、そう言いながら焼き立てのおもちをおいしそうに食べ始めた。
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